2017年10月6日号 Vol.311

群を抜く舞台美術の豪華さ
明快なストーリーも初心者向き
「トゥーランドット」


A scene from Puccini's Turandot. Photo by Marty Sohl/Metropolitan Opera.


Marcelo Álvarez as Calàf in Puccini's Turandot. Photo by Marty Sohl/Metropolitan Opera.


これからオペラデビュー(もちろん舞台の上ではなく、客席の)しようと考えている方に、なんといっても一押しなのが、この「トゥーランドット」。METでも群を抜く舞台の豪華さと解りやすいストーリー(かぐや姫とよく似ているが、最後は月に帰らずハッピーエンド)、その上、有名な音楽満載というのが大きな特徴だ。
気鋭の演出家によるニュープロダクションが次々と発表される中、1923年生まれのレジェンド、フランコ・ゼフィレッリによる演出と舞台美術は、なんと1987年から30年変わらずのロングラン。
舞台は北京の薄暗い喧噪の場面から一転して眩いばかりの姫の宮殿(紫禁城)に場面が移ると会場からどよめきと喝采が湧き起こる。METの舞台でこれほどショッキングな感動は類を見ない。プッチーニの甘美でドラマティックな音楽は、トリノ・オリンピックで金メダルを獲得した荒川静香に続き、今注目の本田真凛選手も今シーズンのフリーで採用している。有名なアリアはカラフ王子の歌う「誰も寝てはならぬ」で、今でもパヴァロッティの名唱は心に残って消えることがない。
タイトルロールのトゥーランドットは、力強い歌唱がマストなので、なかなかストーリー通りの絶世の美貌をクリアした歌手に巡り合わないが、今シーズンのウクライナ出身のオクサナ・ディカは期待に応えてくれそう。
プッチーニは、第3幕の「リューの死」までを作曲し終えたところで咽頭がん(直接の死因は心臓麻痺)で亡くなったため、続きは友人で弟子でもあるフランコ・アルファーノが書き上げた。しかし、初演の指揮を任されたトスカニーニは「リューの死」まで来ると指揮棒を置き演奏を中断、「先生はここで筆を絶たれました」とスカラ座の観衆に告げて演奏を終了したという有名な逸話が語り継がれている。

▼あらすじ

北京の皇帝アルトゥムの娘であるトゥーランドットの絶世の美貌に魅かれた各国の王子たちは、結婚の条件である三つの謎解きに挑戦するが、誰ひとり正解できずに次々と打ち首となっている。国を失い放浪中の王子カラフは父であるダッタン国王ティムールと北京で再会する。盲目の父の杖代わりとなっている女奴隷リューはカラフに恋心を抱くが、カラフは皇女トゥーランドットの美貌の虜になり命を賭けた謎解きに挑戦してしまう。カラフはトゥーランドット姫の謎解きすべてに答える。しかし、それでも結婚を拒絶する姫に今度はカラフが「我が名」を謎として与える。トゥーランドット姫はリューを捕らえ拷問にかけて答えを聞き出そうとするが、リューはカラフへの愛を盾に自害する。リューの献身的な姿を目の当たりにし、カラフの接吻を受けるとトゥーランドット姫は初めて心を開き、民衆の前で王子の名は「愛」と叫び、めでたく二人は結ばれる。 (針ケ谷郁)

TURANDOT イタリア語上演
■10月12日/17日/21日/25日/28日
 11月4日(M)/8日/11日/16日
 3月21日/24日(M)/28日/31日
 4月5日
■ジャコモ・プッチーニ作曲
■原作:ゴッツィの同名の戯曲
■初演:1926年ミラノ、スカラ座
■演出:フランコ・ゼフィレッリ
■指揮:カルロ・リッツィ/マルコ・アルミリアート
■配役:トゥーランドット:オクサナ・ディカ/マルティナ・セラフィン
    リュー:マリア・アグレスタ/ヘイ=キョン・ホン
    カラフ:アレクサンドロス・アントネンコ/マルセロ・アルヴァレス
    ティムール:ジェームズ・モリス/ギオルギ・キロフ
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org


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